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交錯する大義と信念(ホビット第二部感想・その2)

 第二部公開からもうほぼ一ヶ月が経過し、複数回観た上での印象もそれなりに固まってきましたので、もう少しまとめて感想を書いておこうかな、と(ツイッターで散発的につぶやいているのでそれのまとめ的な感じになるかも…)。
 
 と、その前に拍手御礼。
 
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◆前回の日記に拍手をありがとうございました!
 やっぱりイラスト描いて反応いただけると嬉しいです。水をもらう植物のような気持ち。
 
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 例によってたたみます。
 
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 タイトルの通り、第二部ではそれぞれの種族の大義や信念が交錯するお話になっていると思います。第一部では、主な敵対者はオーク、ゴブリン、トロルと「どこからどう見ても悪役」な連中で、あとは多少裂け谷でエルフへの警戒を強調するシーンがあったという程度だったために、「トーリン一行が己の大義と信念のもとに失われた王国を目指す」という、いわばほぼドワーフ視点での物語が展開されました。
 しかし第二部では、そこにエルフや人間など異種族の視点が加わり、その中で揺れ動く「傷心のドワーフ王子」トーリンの姿が強調されていたように見えました。トーリンの強固な信念として感じられたものが、実は財宝に心を囚われた深い欲心なのではないか…と。
 
 まず、序盤のビヨルン邸のシーン。協力を請われたビヨルンの「ドワーフは嫌いだ、他の動物たちのことなど気にもかけていない」(ちょっとウロですが)という台詞。何気ない台詞のようで、第二部のトーリン一行の立場をよく示している言葉だなと思います。アーケン石と財宝を取り戻し王国を復興させるというのは、あくまでドワーフにとっての大義であって、他の人々にとっては喜んで協力してあげる義理はないわけです。それを冒頭でビシッと示す役割をビヨルンに与えたのかな、と。
 
 続いて、闇の森のエルフ。スランドゥイルはトーリンに対して取引を持ちかけますが、どうも自分にはこれ「断られることを分かった上での冷やかし」に見えたんですよね。まあ第一部冒頭の追加シーンからすると、あの宝石を欲しがっていたこと自体は事実なんでしょうけど、トーリンに「焼かれちまえバーカバーカ!」って言われた後のあの反応からすると、「余計なことして竜を目覚めさせてたまるか」とか思っていたように見えます。
 もう一つは、レゴラスたちが捕らえたオークへの尋問シーン。「お前らの世界は終わるんだバーカバーカ!」と言われた後のあの居合い抜きがかっこよかった…のは置いておいて、ここでもオークの言葉から何かを察したかのような反応を見せます。言葉には出しませんでしたが、ここでもしかしたらサウロンの存在に気がついたかな?という風に見えました。
 スランドゥイルは(映画版では)かつて北方の竜たちと戦ったと言い、さらに原作設定では父オロフェアとともに最期の同盟に参戦し、モルドールの軍勢の恐ろしさも経験しているわけですから、何も知らずに強大な敵に挑もうとすることは勇敢というよりも無謀であり愚かしい行為と見なしているのかもしれません。そのため、あえて挑むよりは王国を閉ざし、何者もその中に入れないという道を選びます。
 しかしそんな王の方針に疑問を抱くのがタウリエルで、王国の縄張りの外だからといって、オークどもを好き勝手にやらせておいてたまるものか!と一人信念を持って進む彼女は、様々な思惑が渦巻く第二部の中で非常に小気味のよい清涼剤のような存在に感じました。それに加えて、エヴァンジェン・リリーが何かいちいち可愛らしいんです(笑) 実は最初に画像を見たときは、エルフにしてはちょっと…なんて思ってしまったのですが、画面の中で動く彼女を見ているうちに、この強い意志を持ったタフな女戦士役にピッタリだなと感じるようになりました。あまり美人すぎないところが(ごめんなさい)逆に良かったのかも。
 
 そして人間。バルドは何はともあれ家族が大事。ドワーフ密輸作戦も、ドワーフたちがはなれ山を目指していると気付いた後の激しい反論も、危険が迫ったと見るや黒い矢を持って敢然と立ち向かおうとするのも、全て愛しい子供たちを守るため。野心や大義というよりも、下層生活者からの視点がここで加えられているのも中々興味深いです(身内を危険に晒したくないというのは基本的にスランドゥイルと同様ですが、バルドの場合もっと小さな視点で語られています)。
 統領はといえばこれはこれで非常に人間らしく欲の皮が突っ張っていてよろしい(笑)ドワーフたちが成功すれば財宝のおこぼれにあずかれるし、失敗したらしたで今の町政が変わることもなし、むしろ貧しい日常の中での特殊イベントとして住民の不満の矛先をそらせる…ぐらいに考えていたのかも。
 
 そんな中で一人最も大きな視点を持って立ち回っているのがガンダルフ。中つ国の平和と安定のため、なんとしてもスマウグを片付けなければいけない。さらには、旅の過程で徐々に姿を現しつつある「過去の敵」の策謀も何とかして食い止めなければならない…。と、最もおおきな大義を一人で(ガラ様やラダガストも協力していますが)担っているガンダルフですが、しかしそのためにトーリンをけしかけ、ビルボを危険な旅に無理矢理引き込んだのは、見方によるとかなり非情な利用の仕方とも言えるかもしれません(もちろん深謀と同じぐらい深い情もあることは分かるのですが)。
 ドル・グルドゥアに単身突入したのは、大いなる敵の正体を暴き、あえて罠にかかることで白の会議を動かそうという考えなのだと思いますが、それとは別に、トーリン一行やビルボを危険な旅に向かわせたことに対する、ある種の後ろめたさもあったのかもしれないな、なんて感じました。彼らを危険に晒しておいて、自分が危険から逃げるわけにはいかない・・・という。
 
 さあそんな中で頑張る我らがビルボ。指輪に徐々に囚われていくところも重要ですが、とりあえずそれは少し置いといて。常に仲間たちのため、もっと言うと、一見強固にみえて内実は揺れ動く脆さを持ったトーリンを何とかして信じて助けてあげたい、という一途な気持ちがなんとも健気で素晴らしいです。タウリエルのように強い信念を表に示すわけでもなく、かといってガンダルフのように大きな視点から何かを為そうとするわけでもない。ただ自分が信じた人物のために何かがしたいという、ある意味で非常に庶民的だけども、最も大切で普遍的な価値観を担ったキャラクターだなあと再認識しました。そういったビルボの持つ「誰にでもあるあたりまえの感情」が、第一部でガンダルフが言った「普通の人々の日々の行いが闇を追い払うのです 思いやりや愛情が…」というところなんだなあ、と。
 
 こうしたそれぞれの思惑が交錯する話を、第三部でどう収束させ、その中でビルボがどう立ち回るのか、非常に楽しみな展開だなと思います。

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